ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
「そこまで、大きくはできませんよ。
知名度も低いし」

車が赤信号で止まった。

「あれ、ちょっと車・・その先で止めて」

何か見つけたのか、久遠が助手席から窓を開けて、身を乗り出した。

「あの角を曲がったのは、アンジュじゃないか?
この辺は夜になると、ヤバイ奴が結構出張ってくる。
ギャングとか、売春婦とか」

近藤が軽くブレーキペダルを踏むと、車は減速して道端に停止した。

「お姫様が来る場所ではありませんね。
どうしますか?捜しますか」

「このまま・・スルーするのは、ちょっと嫌かもな。
確認だけしておくか」
そう言って、久遠が車を降りた。

「荒事は・・危険手当ですよ」

久遠に続いて、近藤も車を降りた。

「ああ、労災扱いにしておくよ」

近藤は、はぁとため息をついて、久遠の後に続いた。

その場所は、スプレーペイントで落書きがある、大きなガレージや倉庫が立ち並ぶ地域だった。

昼間とはいえ、細い道に入ると薄暗く、人気がない。

「だから!マリアンナに合わせてよっ!ここに来ているんでしょ?」

細い道の先から、かん高い声が、薄汚れたコンクリート打ちっぱなしの壁に響いた。

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