ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
姫君の行く先
警察で事情を聞かれ、伯爵のお抱え弁護士が来て、たくさんの書類にサインをして・・
アンジュの友達の友達が、地元ギャングと知り合いで、どうやらアンジュが金持ちという話になったらしい。
少し脅せば金が入ると、安易に判断したのだろう。
知り合いのマリアンヌという名前で、アンジュはおびきだされたようだ。
久遠と近藤にコテンパンにやられた犯人たちは、全員が未成年者だった。
警察の玄関ホールの片隅、自動販売機の前で、スマホで久遠はしきりに謝っている。
「だからね、エミリア、緊急事態だったの。
ごめんってば、この埋め合わせは必ずするからさ・・」
固いビニール張りの長椅子に座り、近藤は腕時計を確認した。
このまま、空港に行けば、朝一の便に乗れるかな・・
と思うが、片腕にべったりとアンジュがくっついている。
血の気が無く、目を閉じて、ひどく疲れているのがわかるが、
そっと離そうとすると、目を開けてフルフルと首を振り泣きだしてしまう。
「アンジュ、いいですか?
お家に帰って、ゆっくり休むんですよ」
白髪の弁護士がしゃがんで、アンジュに声をかけたが、より近藤の腕にしがみついてしまう。
「家に・・帰っても・・誰もいないの」
アンジュはしゃくりあげながら、ようやく言葉を吐き出した。
「そうですか・・伯爵に・・相談してみます。
すぐにこちらに、戻れるかどうか」
そう言って、弁護士はスマホを取り出した。
「ああ、はい、わかりました。
クオンが一緒にいます。
ええ、聞いてみましょう」
弁護士は久遠のところに向かった。