ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
竹里への出張
近藤の車は、マンションの地下駐車場に止めてあった。
「この車・・小さくて可愛いね」
そのお姫様発言に、近藤は無表情にうなずいた。
どうせ、姫君は高級大型外車、
しかも運転手つきのしか乗ったことがないのだろう。
「小さいほうが、小回りが利いていいんですよ」
近藤は日本の道路事情を説明した。
「日本は狭い道が多いですから。特に山にはいると、すれ違いできないくらいの幅です」
「へぇーー、山に行くの?」
姫君は好奇心いっぱいで、目をキラキラさせた。
近藤は助手席のドアを開けて、
そのまま乗るように促した
「遠出します。
古民家を売りたいという人がいて、その下見ですが・・」
「じゃぁドライブなの?楽しみぃ!!」
近藤はやや口角を下げて、低めの声で
「私の仕事です。
時間の都合で・・仕方がないのですが、あなたも同行してもらいますが・・」
近藤は、ここで釘を刺しておこうと考えた。
「まず、日本語をできるだけ覚えましょう」
「うん、いいよぉ。学校の第二外国語で、日本語を取ったから、
ちょっとできる」
姫君は近藤を見て、ニコッと笑顔を見せた。
その笑顔を見て、近藤は少し安堵した。
出国前の事件のショックが、癒えてきているのだろう。
「それから、日本では男性が女性をエスコートする習慣が、あまりありません。
外で腕を組んだり、手をつないだり、ハグするのは家族とか、親密な関係を意味します。
なので、そこも理解をしてください」