ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)

なよ竹のかぐや姫


「タケノコの季節なら、たけのこご飯をごちそうするのですが・・
あれっ、みんないないな」

菅原氏と近藤が戻った時、
庭には段ボールと軽トラだけが置かれていた。

「うちに入っているのでしょう・・近藤さんもどうぞ」

菅原氏が古ぼけた土間の板戸を、ギシギシと力を入れ開けた。

土間から黒光りする板の間、
中央に大きないろりがある。

その奥の座敷、うす暗い中、
北向きの障子が、柔らかな光を放つ・・

その障子のそばで

生成りの小袿、緋色の袴、
豪華な打掛をはおった姫が立っていた。

打掛は鮮やかな紅色、
裾には、鶴の飛翔する姿を金糸銀糸の刺繍で埋められている、

その髪は黒髪ではなく、柔らかな稲穂、黄金の色で波打っていたが・・。

「おや、これは・・」

菅原氏が、竹の翁がかぐや姫を見つけた時のような声をあげた。

「ねっパパ、すごく可愛いでしょう!
インスタにあげるから」

パシャ、パシャ

菅原娘が、スマホで写真を撮りまくっていた。

「アンジュちゃん、こんどはこの扇を持って、椅子に座ってね」
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