ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
姫をなんとかする
ピピピピ・・
スマホの目覚ましアラームが鳴った。
6時か・・
体の節々が痛むし、自分でも相当疲れているのがわかるが・・
今日こそは、姫君をホテルまで連れて行かねばならない。
「くっ!」
両肘を曲げて、気合を入れる。
この課題さえクリアできれば、
通常通り、いや休暇を取ろう。
近藤はむっくりと起き上がり、
洗面所に向かった。
8時過ぎ、出勤前のスーツ姿の近藤がキッチンで、コーヒーを入れている所だった。
「オハヨーゴザイマスゥ」
眠そうに目をこすりながら姫君が、Tシャツ、例のギリギリラインの姿で寝室から出て来た。
「おはようございます。
着替えたら、すぐに荷物をまとめてください」
「えーーとぉ、今日はどこにいくのっ?」
期待で矢車草の瞳が細められ、
綺麗な弧を描いた。
近藤は集中すべく、下をむいて、コーヒーに湯をそそいだ。
コーヒーから立ち上るアロマは、きっちり近藤をA人格の仕事モードにした。
「会社に行って、あなたの今日からの日程は・・秘書課の女性が対応してくれます」
「えーー!コンドーが一緒じゃないのぉ?!!」
サファイアブルーの瞳が、カッと開かれ、頬が赤くなった。
「私は別の案件を抱えていますので、今日はご一緒できません」
近藤はそう言って、目を伏せて
コーヒーを一口飲んだ。
懐かれて困るのは・・自分だ。
「早く支度をなさってください。
私は車を下にまわしておきますから」
まだコーヒーの残っているカップを置くと、
車のキィーと上着をつかんで、
玄関に向かった。
これ以上、接触すれば、別の感情が沸いてくる。
いや、すでにあのギリギリラインを見せつけられるだけでも・・
ピンクの感情攻撃だ。