ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
今日の姫君は、深紅のゴスロリドレス、髪をハーフアップにして
同じ深紅のリボンが揺れている。

娘と少女の間の透明な時期、
その一瞬のはかなさと美しさが同居している。

ミルクティーの髪の色が深紅に映えて、人形のように可愛い・・

ふっと、笑みが浮かんでしまう。

これは・・接待ではない感情だ。

「何を買ったのですか?」

姫君は、大きな包みを胸に抱えていた。

「日本語の絵本。竹のお姫様の話を見たかったの」

そう言って、ミルクティーの頭を軽くゆすったが、
視線はもうあちこちに飛んで、
好奇心で満ち溢れている。

「うわぁ、クリスマスマーケットみたい。
ねぇ、あれ、食べたい!!」

姫君が所望したのは綿あめだ。

ピンクでふわふわで、かわいらしくて・・
綿あめを持って幼い子どものようにご機嫌だ。

「手がベタベタになりますよ。
絵本は私が持ちましょう」

「ねぇねぇ・・金魚のやつ・・
あれやりたい」

小学生ぐらいの子どもたちが
数人、口を一文字に結んで、必死の顔つきで金魚すくいにチャレンジしている。

若い父親が、幼いこどものたもを持つ手を添えて、色とりどりの金魚が泳ぐ水槽に静かにいれた。
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