ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
姫君は、その隣にしゃがみこんだ。

水槽のあちこちで、かき回されるので、金魚たちはあっという間に、散らばり逃げてしまう。

姫君も、慎重にたもを水に入れたが、貼ってある紙が、すぐにふやけて破れてしまった。

「えーーん、むずかしい!!
だめだぁ・・」

姫君が口を尖らして、隣でしゃがむ近藤の顔を見た。

「私がやりましょう」

近藤は、器用に3匹ほど、続けてすくった。

「すごーい!金魚マスターだね」

姫君の尊敬の視線は、くすぐったい気分を誘う。

ビニール袋に金魚を入れてもらい、姫君は目の所まで持ち上げて、その観察に余念がない。

「とってもきれいだね!
ねぇ、写真撮って?」

近藤の顔を見上げて、童女のような笑顔を見せた。

「花火もすごくきれいですよ」

何気ない会話、一緒にいることに、自分の感情がさざ波のように揺れるのを、近藤は感じていた。

それでも、この花火が終われば、すべてが終わりになる。

夕日の名残が消えて、花火が始まる時間が近づくと、人の流れが激しくなった。

交通規制のアナウンスが何度も流れ、すれ違う人の肩がぶつかるほどの混雑だ。

「アンジュ・・・!?」

すぐ隣に・・いない!!
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