ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
後悔よりもっと深い感情、身をえぐられるような・・
痛みを伴う感情・・それは・・

入り口の鳥居の脇に・・
大きな灯篭が見えた。

そのほの暗い灯りの下、
姫君が絵本を抱きしめて、台石に一人座っていた。

「はぁ・・まったく!!
どこにいたのですか?!」

近藤は額に手を当て、安堵すると同時に・・
へたれこんで姫君の隣に座り込んだ。

「まったく、とんでもなく心配しましたよ!!」

「隣にいた小さい子に金魚をあげたの。
そうしたら、コンドーがいなくなっちゃって・・」

一人で心細かったこと、がまんした事を、必死で矢車草の瞳を濡らして、訴えている。

「だって・・だって・・人がいっぱいで、コンドーと手をつなぎたかったけど、だめでしょ」

姫君はほとんど泣き出しそうに、声を震わせた。

近藤は、額にしわを寄せた。

そう、<手をつなぐのは恋人の関係だ>と、教えたのは自分だ。

ヒューーー、ドーーーン

そこにいる人が上を向いた時、
近藤は矢車草の潤んだ瞳を見た。

姫君の指先が近藤の頬に触れて・・
何か言いたげに唇が開かれた。
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