ピンクの姫が無自覚攻撃を繰り出すので、ブルーの侍が困惑しています(アンジュと近藤)
近藤はそれをふさぐように、顔を寄せて、姫の唇に、
薔薇の花びらを唇にはさむように・・
それから舌先でそっと触れた

甘く柔らかい、しっとりとして・・
綿あめのようにはかなく消えてしまいそう・・

「だから・・手をつなぎましょう」
唇をはなした近藤の声は、かすれていた。

なぜ、そうしたのか・・
自分でも説明ができない。

何か・・いつものA人格の自分ではない、別のB人格が体を乗っ取ってしまったようだ。

「だめ・・恋人のキスじゃなくちゃ・・いや」
姫君の甘い声が、いや、ピンクの声が耳元で響く

ヒューーー、ドーーーン

それは・・理性がぶっ飛んだ音だった。
近藤は、姫君の手を握りしめて立ち上がった。

通常のA人格、つまり社会的な立ち位置、仕事とか肩書とか常識がダムの決壊のごとく、崩壊した。

脳内を占領したB人格が、一刻も早く、姫君をここから連れ出せと命じている。

どこへ?

もちろん、二人だけになれる場所に決まっている!

ヒューーー、ドーーーン

また花火が上がり・・・・

これは近藤の脳内で、火花が散ったのと同時だった。

心拍数が上がり、冷や汗が背中を伝う。

そのまま膝が折れて崩れ落ち、
目の前で深紅のリボンが揺れて、暗闇に沈んだ。
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