辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
別で湯を沸かし、メルリノがそっと注ぐ。水滴が落ちないよう、忘れず本体に布をかぶせてから蓋をする。

 魔道コンロに火を入れて、ジェナに移した湯が沸くまでしばし待機。火を止めるタイミングをはかっていたら、ジェナがそっと浮き上がった。そのまま別の場所に移動して、ジェナは静かになる。

 自分で火加減を調整していたようだ。やはり、完璧なフライパンである。

 しばらく待って、プリンの完成。冷やしてもおいしいけれど、まずは出来立てほやほやのところをいただく。

「メルにぃに、おいしい?」
「……うん」

 メルが微笑む。それだけで、十分な気がした。

 

 * * *

 

 余計なことをしなければよかった――!

 卵が欲しいのなら、皆が戻ってくるまで待っていればよかった。メルリノは後悔していた。

 目の前には魔物。一体だけだが、メルリノには勝ち目はない。

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