辺境騎士団のお料理係！～捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります～

　メルリノと町に出た時、魔物に襲われてから、ジェナとベティはエルの近くをうろうろするようになった。何も知らない人が見たらぎょっとする光景かもしれないけれど、辺境伯家では誰も驚かない。

「エル、プリン作れるか？」
「プリン？　材料、あれば作れるよ」

　末っ子のハロンは、三兄弟の中で一番甘党らしい。先日作ったプリンがお気に入りらしく、しばしばおやつにプリンをねだられる。

「プリンって何で作るんだっけ」
「お砂糖、卵、牛乳、バニラエッセンス」

　この世界にバニラエッセンスはないかなと思っていたけれど、魔族経由で入手できた。意外と前世と調味料や香辛料なんかは似ているらしい。

「砂糖がないなー、でも、この間買ったばかりだからなぁ」

　食料保管庫を覗いたハロンは、ため息をついた。

　辺境伯家では今まで甘いものといえば果物とドライフルーツがメイン。