辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「食べ物、送れる?」
「送れなくはないけど、難しいっすよ。ここから王都まで一週間以上かかるんでね」
「うーん、わかった」
何がわかったのかはわからないが、エルはぽんと手を打ち合わせる。
それから、アルドの膝に手を置いた。
「お手紙、書いた方がいいよ」
そんなの、アルドの方がずっとよくわかっている。今まで勇気が出なかっただけ。
「あとは、エルにお任せ。おいしいの、作る」
そんなことを言われても、王都までかかる時間は今説明したばかりなのに。
やっぱり、子供なのだなとぱたぱたと走り去る後ろ姿を微笑ましく見守る。それから、改めて便箋に向き直った。
ろくに別れの言葉を告げることもできないまま出てきてしまった。少なくとも、今の気持ちは正直に伝えておこう。
もし、彼女にもう想う人がいたとしても、アルドが文句を言えた筋合いでないのは十分わかっている。