辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
 ジャンは、エルのことをもう養女同然と認識しているみたいだった。辺境伯家の本当の娘に対するみたいにエルに接してくれる。

「難しい?」

 エルは首をかしげた。

 最近、メルリノに教わって少しずつ字が読めるようになってきた。辺境伯家は、よく学びよく働けというわけで、屋敷に大きな図書室も用意されている。

 前世の知識がものをいうのか、エルの学習能力はだいぶ高いらしい。もう、ハロンと同じ本が読める様になっているほどだ。

「読めるもん」

 ジャンに両腕を広げたら、それだけで察してくれた。ひょいとエルを抱え上げ、膝に座らせてくれる。

「んふふー、ジャンは優しい」
「私は別に優しいわけでは」

 後頭部を胸に擦りつけるようにして甘えたら、もごもごと返ってきた。優しいものは優しいのに。

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