辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「ありがとうございます、ロドリゴ様」
「……なんだよ、急に」
「いえ、言いたくなっただけですよ」

 例年なら、一人で兄を偲んでいた。

 だが、ジャンと同じぐらい兄を大切に思ってくれる人と、こうやって時間を過ごすのも悪くはない。

 明日は、エルにこのナッツの作り方を教えてもらって、兄と乾杯しよう。

 それを思えば、この時間がなおさら愛おしいもののように思えてならなかった。

 

 * * *

 

 ふむ、とジャンの様子を見ていて思う。

 お兄さんの命日を過ぎたからか、いつもの調子を取り戻してきたような。ナッツのキャラメリゼの作り方は、先ほど伝授した。

 ジャンも甘いものが好き、と心のメモ帳に書いておく。

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