辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「ロドリゴ様が、立派な騎士団長であるのは知っています。尊敬はしています。でも、この時期になるとここが痛いんです」

 エルよりもだいぶ年上の人が、苦しそうな顔をして胸に手を当てている。

「ジャン、座って」
「座る?」

 意味がわからないというような顔をしながらも、ジャンはその場に膝をついてくれた。エルは手を伸ばすと、ジャンの頭を撫でる。

 ロドリゴも、三兄弟も、騎士団員達も、エルの頭はかき回していいものだと思っているらしい。しばしばぐりぐり回されるから、エルの方もすっかり慣れてしまった。

「ジャンは、偉い。ロドリゴ様、ジャンのおかげですっごく助かってる」

 たとえばロドリゴが後回しにしがちな書類仕事だとか。隊内の規則を必要に応じて見直すとか。そういった作業は全部ジャンが引き受けているのをエルは知っていた。

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