辺境騎士団のお料理係！～捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります～

　たしかに辺境伯家の影響力を、社交界にもきちんと見せつけておくのは大切なことなのだろう。辺境伯家は王都から一週間以上かかるところにあり、なかなか普段は行き来できないらしいから。

「馬だけなら、すぐに行き来できるぞ。あと、魔道具もあるしな」

　さすがに一瞬にして転移するような魔道具はないが、馬車よりずっと乗り心地のいい魔道具もあるそうだ。それに、馬だけ使うなら、もっと早く往復できるらしい。

「――なるほど」

　辺境伯夫人は、こちらに戻ってくるときは侍女も連れず一人で着替えのできる身軽な服装だし、日用品もこちらに置いてあるもので十分だということで、王都からは五日ほどで到着するそうだ。

　いくら馬を変えながらとはいえ、馬車の半分程度の日数で来られるということは、辺境伯夫人も体力があるのだろう。

「エル、ご挨拶、する」

　辺境伯夫人には、きっちりとご挨拶しなければ。