辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「ちっちゃい身体で頑張るんだもんねー。エル、王都が近づいたら、僕の馬にも乗りましょうね」
「おい!」

 むっと頬を膨らませているエルを、すかさずメルリノが抱え込んだ。
最近の彼は、結界魔術を上手に活用する方向に意識を切り替えている。もしかしたら、一番安心なのはメルリノの側なのかもしれない。

「俺も俺も!」

 メルリノの腕の中にいるエルに、ハロンが頬ずりをする。きゃーっとエルが笑うのを見て、今度むくれたのはラースだった。

「お前らエルを放せ!」
「先にエルをいじめたのは兄さんだろ?」
「いじめてない!」

 ハロンに本気で反論しているあたり、ラースの精神年齢はハロンと大差ないのかもしれない。

「いてて!」

 ラースの耳をぴっと引っ張ったのは、ロザリアである。彼女は腕を組んで、長男を睨みつけた。

「小さな子には優しくしなさいと教えなかったかしら?」
「母上ぇ……」

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