辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「お医者様を呼びましょうか。それとも、一緒にお昼寝をする?」
ロザリアの腕の中は温かい。だけど、この温かさに甘えていてもいいのだろうか。このまま辺境伯家にいたら、彼らをトラブルに巻き込みかねない。
「……思い出したの。エル、どこの子か思い出した」
エルは、彼女の胸にぐったりと身体を預けて口を開いた。
「たぶん、さっきの人はお父さん。でも、エルのことは嫌いだったの」
エルの身体に、ロザリアの腕が巻き付けられる。
三兄弟は、エルの前に腰を下ろした。床の上に直接座り込んで、膝を抱える。体育座りみたいだなと何の脈絡もなく思った。
「エルのことが嫌いってひどくないか?」
「でも、嫌いだったの。エルの周りで、危ないことが起こったから」
魔力がないとして、家庭の中で冷遇されていた。