辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~

「お医者様を呼びましょうか。それとも、一緒にお昼寝をする?」

 ロザリアの腕の中は温かい。だけど、この温かさに甘えていてもいいのだろうか。このまま辺境伯家にいたら、彼らをトラブルに巻き込みかねない。

「……思い出したの。エル、どこの子か思い出した」

 エルは、彼女の胸にぐったりと身体を預けて口を開いた。

「たぶん、さっきの人はお父さん。でも、エルのことは嫌いだったの」

 エルの身体に、ロザリアの腕が巻き付けられる。

 三兄弟は、エルの前に腰を下ろした。床の上に直接座り込んで、膝を抱える。体育座りみたいだなと何の脈絡もなく思った。

「エルのことが嫌いってひどくないか?」
「でも、嫌いだったの。エルの周りで、危ないことが起こったから」

 魔力がないとして、家庭の中で冷遇されていた。

< 303 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop