辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「……つまり、エルを誰かに殺させようとしたんだな」

 エルは首を振る。わからなかった。

 エルを実の家族が殺そうとしたのかなんて、考えたくなかった。

 愛されていないのはわかっていたけれど、殺そうとしたなんて考えたくなかった。

「……なんてこと!」

 ロザリアはエルをしっかりと抱きしめた。彼女の手も震えている。

(やっぱり……)

 ロザリアにとっても、エルの話はきっと迷惑だったのだ。伯爵家との間に、余計な軋(あつ)轢(れき)を生むのはよろしくない。

「まったく、なんてことだ――とりあえず、エルは余計な心配はしなくていい」

 ロザリアの胸から、ロドリゴの腕の中に移動させられる。かと思えば、彼はひょいとエルを高いところまで持ち上げた。

「エルは俺達の子だ。だから、どこにもやらないからな」

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