辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
エルの耳には届いていないと思っているのか、女性達はひそひそと囁き合い始めた。そうか、あの家でエルは亡くなったということになっていたのか。
(そう言えば、私の名前ってなんだっけ?)
エルというのはあくまでも本名を短くしたもの。
あの時はちゃんと覚えていたと思ったのだけど――まあいいか。記憶がないのはしかたない。
生家の姓だって、覚えていないし、覚えていないということはエルにとって必要のない記憶ということだ。
「蜂蜜クッキー、食べる?」
「食べる!」
子供用の小さなテーブルには、ロザリアが持ち込んだ蜂蜜クッキーも置かれている。
子供達の間でも人気のようだ。材料はなかなか手に入らないので、王都では再現できない品だ。
「エル嬢は、辺境伯のお家で幸せ?」
(そう言えば、私の名前ってなんだっけ?)
エルというのはあくまでも本名を短くしたもの。
あの時はちゃんと覚えていたと思ったのだけど――まあいいか。記憶がないのはしかたない。
生家の姓だって、覚えていないし、覚えていないということはエルにとって必要のない記憶ということだ。
「蜂蜜クッキー、食べる?」
「食べる!」
子供用の小さなテーブルには、ロザリアが持ち込んだ蜂蜜クッキーも置かれている。
子供達の間でも人気のようだ。材料はなかなか手に入らないので、王都では再現できない品だ。
「エル嬢は、辺境伯のお家で幸せ?」