辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
 抱き上げたロドリゴは、エルに頬をすり寄せる。ちょっとひげがじょりじょりするが、今のところは我慢しておこう。

「兄さん達は、ピグシファーを狩りに行くって。今日は、二人の組が最初に見回りだから」
「お、いいな。エル、どんな料理にするつもりだ?」
「豆と煮る! 他のお野菜もいっぱい入れて、栄養満点!」
「野菜か……ま、エルのつくるものは何でも美味いからな」

 ロドリゴが顔をもっと強くくっつけてきて、エルは笑い交じりの悲鳴をあげた。

「痛い! 痛いよ、お父様!」
「父上、エルを独り占めしないで――そうじゃない! 下ろして!」

 エルを独り占めにしているロドリゴにハロンが文句を言い、ロドリゴはハロンも一緒に抱き上げてしまう。たぶん、ハロンが言っていたのはそういうことじゃない。

 なんて笑いながらも、エルはますます高く笑った。

 幸せだ。ここにエルの幸せはある。

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