辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「もうすぐ、あの娘は適切なところに行くらしいから、気をしっかり持つんだ」

 メイドを男性使用人が慰める。娘が伯爵家の血を引いていることなど皆忘れていた。

 

 どやどやと部屋にたくさんの男が入ってきて、子供は目を見開いた。これが最後の盾と言わんばかりに、毛布をぎゅっと抱きしめる。

「やっ……だあっ」

 子供の悲鳴にはかまわず、毛布が取り上げられ放り投げられた。

 かと思えば、手足に縄が巻きつけられる。ぎゅうぎゅうと子供を縛り上げている男達に向かって、床に投げ捨てられた毛布が飛びかかるが、男達の方が上手だった。

 二人がかりで毛布を押さえ込んでそのまま縛り上げてしまう。その間に子供は部屋から運び出されていた。

 荷車に放り込まれたかと思ったら、荷車は一目散に屋敷を離れていく。

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