辺境騎士団のお料理係！～捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります～

「あなたのお名前はベティ、ベティにする」

　すると、包丁がきらりと輝いたように見えた。

（……お友達だ）

　本能的に理解する。これは、エルと精霊――ベティの間に契約が結ばれた証。

　なんだ、とおかしくなってしまった。

　あの人達は、エルは魔術が使えないし、呪われていると言って閉じ込めたけれど、呪われていたわけじゃなかった。ただ、エルの周囲で精霊達が騒いでいただけのこと。

「一緒にいてくれる？」

　いるよ、と聞こえた気がした。ワクワクしながら、エルは樽によじ登ろうとした――けれど、無理だったので、ラースがひょいと持ち上げて座らせてくれた。

「ベティ、お野菜、切ります。シチュー、作ります」

　ごろごろお野菜のクリームシチューを作るつもりなのだ。