辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
 残念ながら、エルの味覚は失われたまま。けれど、ここの人達は温かい。彼らが喜んでくれる料理を作るためなら、なんだってできる気がする。

「俺の仕事なくなったなぁ……」
「お野菜、ラスにぃにも切ります」
「ああ、ベティだけに任せる必要はなかったか」

 騎士団員全員の調理をしなければならないので、包丁は何本も置かれている。メルリノとハロンもそれぞれ包丁を取り上げた。

「次。鶏さんのお肉」

 冷蔵庫から鶏肉と思われる肉を出してきた。出してきたと言っても、運んだのはハロンだけれど。

「あー、これ鶏肉じゃないぞ。これは、フェザードランの肉だな」

 どうやらここでは、魔物の肉が普通に食されているようだ。ハロンの言うフェザードランというのは、ドラゴンの亜種とされている。

 羽根が生えているのだが、大きなトカゲのような姿をしている。肉質は、たしかに鶏肉のようで、非常に美味なのだとか。

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