辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
「ふぇざーどらん……」

 ドラゴンではなく、ドランなのは、ドラゴンの亜種であることを示しているらしい。

 それはともかく料理である。

 お腹の肉がシチューに向いているそうなので、その部位を選んで皆で切ってもらう。ちょうどいい大きさに切り分けたなら、フライパンで肉に焼き目をつける――焼こうとしたら、今度はフライパンが飛んできた。

「飛んでる」

 思わずつぶやいてしまっても、しかたないと思う。

 空中をふよふよと飛んできたフライパンは、エルの前に着地した。

「……お名前、つける?」

 聞いたら、うなずいているかのように左右に揺れる。どうやら、ベティと同じように名前をつけてほしいらしい。

「えっと……えっと、ジェナ、ジェナでどうかな?」

 いい名前なんてすぐに思いつくものではない。迷いながらではあったけれど、提案したらフライパン――ジェナも喜んでくれたみたいだった。

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