辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~
 厨房で手を上げたのは、この家の当主であり、騎士団長であるロドリゴだ。彼もしっかり料理当番に組み込まれているのが、辺境伯家らしいと言えば辺境伯家らしい。

「ジェナも、ベティもおはよう!」

 元気に挨拶したのは、フライパンと包丁にいついてしまった精霊達。調理台の上で、ジェナとベティがぴょんぴょん跳ねて挨拶してくる。ベティがジェナに飛び乗ると、ジェナはひょいと空中を飛んで、エルの肩をつついてきた。

 メルリノや、騎士団に所属する魔術師の調べによれば、エルは魔術は使えないものの、精霊の力を道具に宿すことができる珍しい能力の持ち主なのだとか。

『王宮に行ったら大事にされるだろうなあ』

 というのはロドリゴの言葉だが、それについては遠慮させてもらった。

 王宮に行ったら、あまりよくないことが起きるような気がする。

「今日は、スープを作り、ますっ!」

 元気に右手を上げて宣言。

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