どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
サッカー部の顧問を務めるくらい体育会系な先生は、地声ですら、すこぶる声が大きくて。
本当になんで体育じゃなくて、数学の先生なんだろう…。
と、疑問に感じたことがあるのは私だけではないはずだ。
というか、マズいよ。先生にこれ以上叫ばれたら教室内にいる凪音くん達にバレちゃうじゃん!
そう思った私は「聞こえている」ことをアピールするため、先生の方を向くと、慌ててペコリと会釈をした。
そんな私に満足したのか「おう!気をつけて帰れよ〜」と結局大きな声で叫んでいく先生に私は小さく肩を落とす。
その時だった。
ガラッ。
「…え、委員長?」
驚いたような春木くんの声が聞こえてきて、私はおそるおそる声の方向に視線をうつした。
「あ、あの…。私、鞄を取りに来て…」
そう言いにくそうに口ごもる私を見て、春木くんは私が先程の会話を聞いていたことを察したみたい。
サーッと彼の表情が青くなるのを私は見逃さなかった。
その後ろから、「裕太どうしたんだよ?そんなとこで立ち尽くして。つか、さっきのデカい声って田中先生……」とクラスメイトの男子数人が春木くんの後ろから顔をのぞかせる。
そして、私の姿をとらえると一様に目を見開き、青ざめた表情を浮かべた。