どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
そんな彼らに「ありがとう」と声をかけ、私は教室の扉をくぐる。
その瞬間、パチッと教室の後の席に座っている凪音くんと目が合った。
ドキッ。
「委員長、お疲れ様」
「うん。筧くんも。えっと…あ!筧くん、テスト勉強進んでる?私、全然で…。早く帰って勉強しなくちゃ」
いつも通り、フレンドリーに声をかけてくれる凪音くんに笑顔を浮かべる私だったが内心は。
凪音くんにいつも私、どう接してたっけ…!?
と、パニック状態。
さすがに、彼の推しが自分だと聞いてしまった手前、気恥ずかしさが勝っていて。
私は早くこの場を立ち去りたい一心で、小走りで自分のロッカーへと足を進めた。
カチャ。
ゆっくりと心を落ち着かせながら、私はロッカーを開け、自分の鞄を手に取る。
よし、芽結。
このまま鞄を持って、何事もなかったように帰るの。そして、今日の話は私の心の内に閉まっておくことにしましょう。
そんなことを考え、くるりと踵を返した時。
「ねぇ、委員長」
突然、凪音くんから声をかけられ思わず心臓がはねた。