どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
「んー…俺の場合は、成績が悪いのを部活のせいにしたくなくてさ。だから、どっちも頑張ろうって思ってるんだ」
「えらいなぁ…。私も最初は部活入ろうかなって考えてたんだけどね。要領悪いから勉強も部活もって両立できなさそうで諦めちゃった」
だからこそ、凪音くんのことは素直にすごいと思う。
「うーん。まぁ、でも、委員長は部活の代わりにクラスの為に色々頑張ってくれてるじゃん?雑用とかも積極的に引き受けてくれるし。俺は皆の為に動ける委員長のほうがすごいって思うよ」
凪音くん、そんな風に思ってくれてたんだ…。
優しげな表情で、そう言ってくれる彼に私はあたたかい気持ちで胸がいっぱいになる。
「ふふ。筧くんにそう言ってもらえると嬉しいな」
小さく笑みを浮かべ、凪音くんを見つめると一瞬、彼は驚いたように目を丸くした。
そして、次の瞬間。
真面目な表情でジッと私の瞳を見つめてくる。
え。な、何…?
「あのさ、委員長。さっきの話、本当は聞こえてたよね?」
ドギマギしている私をよそに、凪音くんの口から飛び出したのは、おそらく先ほどの"クラスでの推し"の話。