どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
「あ…。えっと〜…ちょっとだけね?でも、田中先生の声が大きかったから最後の方はあんまり聞き取れなかったんだけど…」
まさか話を掘り返されるとは思わなかった私は、咄嗟になんと返していいかわからず、しどろもどろになってしまった。
「…じゃあさ、俺の話は聞こえてた?」
「ううん。春木くん達の話し声は聞こえたんだけど…」
少し苦しい言い訳だが、自分の口から"凪音くんの推しは私だって聞こえました"なんて口が裂けても言えるわけない。
「あ!そういえば、春木くんって、三浦さんみたいな子がタイプなんだね〜。三浦さん可愛いもん、春木くんの気持ちわかるなぁ」
少しでも話題をそらそうと、思い出したように先ほど聞いた春木くんの推しについて語りだした時。
「そうかな?俺は委員長のほうが可愛いと思うけど」
「…え?」
ニコッと可愛い笑顔で凪音くんがそう言い放つものだから、私は笑顔のまま、カチンとかたまってしまった。