どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
さ、私もそろそろ掃除の準備しよっと。
そんな彼女を見送って、私が自分の席から重い腰をあげた瞬間、ちょうど昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。
「机、下げてー」
「私、黒板のほうするね」
教室掃除のメンバーが、テキパキとそれぞれの持ち場の掃除を開始するなか、私もその流れにのって、掃除用具のロッカーからほうきを取り出した。
その時。
「あ。もうゴミ箱いっぱいになってる」
クラスメイトの三浦さんの声が聞こえてきて、思わずその方向を振り返る。
おそらく1階にあるゴミ捨て場に行くまでが億劫なのだろう。
若干、面倒くさそうな表情を浮かべている彼女を見かねて。
「三浦さん、ゴミ箱いっぱいになってるなら私、捨ててこようか?」
と声をかけた。
「え、いいの?委員長ありがとう。あ!ついでにこのダンボールもいい?持てる?」
「うん。大丈夫、持てるよ。それじゃ、すぐ捨ててくるから三浦さんはほうきお願いね」
ゴミ袋の端を結び「よいしょ」と袋を持ち上げた。そのまま、三浦さんからお願いされたダンボールを小脇に抱えてみる。
ダンボールを脇に抱えているためバランスが取りづらいが、持てないことはない。
「委員長、ありがとう〜」と私にお礼を言う三浦さんの声を背中に受け、少しヨロヨロとしながらも、私は1階の中庭にあるゴミ捨て場へと足を進めた。