どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
「わっ…。危ない、ダンボールを落とさないようにしなきゃ」
歩き出しは良かったものの、廊下から階段に差し掛かると状況は一変。
段差を1段下りる度に、脇に抱えていたダンボールがずり落ちそうになる。
再度脇に抱え直し、慎重に階段を下っていた時だった。
ズルッ。
「…!?」
抱えていたダンボールが脇からすり抜け、私の足元に落下し。
「キャッ…!」
そのせいで、バランスをを崩した私は、階段の真ん中辺りで前のめりになってしまう。
落ちる…!
そう思って反射的にギュッと目をつぶり、覚悟をした瞬間。
グイッ。
誰かの逞しい腕が背後から私の身体を支え、落ちそうになっている所を助けてくれた。
あ、危なかった…。
咄嗟に手を離したことで、階段下の踊り場に落ちたゴミ袋とダンボール。
危うく私もそれらのニの前になる所だった。
「あの…ありがとうございます。助かりました……っ!?」
支えてくれた誰かにお礼を言いつつ、視線を後ろに移した私は、助けてくれた人物を視認して思わず固まってしまう。
「危なかったな…。委員長、大丈夫か?」
だって、そこにいたのは…。
私の推しの筧凪音くんだったから--。