どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
「う、うん!わかった。筧くん、わざわざ教えてくれてありがとね」
緊張から声が上ずりそうになるのをどうにか堪え、私は笑顔で彼に対してお礼を述べる。
「ん?たまたま先生から伝言頼まれただけだし。じゃ、よろしくな。いつも委員長の仕事お疲れ様」
最後にそう言い残し、男子生徒の輪に戻っていく彼を私はこっそりと盗み見た。
凪音くんってば、あいかわらず爽やかで優しい。
お疲れ様とかわざわざ言うところがまた…良い!
さすが私の推しだわ〜。
心の中でそんなことを考えて、うっとりしていると…。
「ちょっと〜。芽結ってば見すぎ!そんなんじゃ好きなのバレバレ」
やれやれと肩をすくめる胡桃ちゃんが目に入ってくる。
「もう胡桃ちゃんってば、前から言ってるじゃん!凪音くんは、わたしの推しで、好きとはまた少しベクトルが違うの。胡桃ちゃんだって、小雨くん好きだけど、彼氏いるじゃん!」
「はいはい。そうだったわね。わかりました〜。私の小雨くんに対する気持ちと同じねー」
フッと小馬鹿にしたような表情が少し引っかかるが、まぁ、わかってくれたならよしとしよう。