どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
『もしかして、体育の事業中に落としたんじゃない?私、職員室に届いてないか確認してくるから、芽結は、体育館の方見てきなよ。もし、届いてたらスマホにメッセージ送るから』
『うん、胡桃ちゃん、迷惑かけてごめんね。ありがとう』
鍵がないと家に入ることができない。
胡桃ちゃんの提案で二手に別れて探すことになり、今に至るというわけ――。
「うーん…。どこだろ」
とりあえず、うろうろと体育館周りを探しては見たものの、鍵らしきものはどこにも落ちていない。
ということは…。
やっぱり体育館の中かな?
バレー部が練習しているなかに飛び込むのはさすがに気が引けた私は、ひっそりと体育館内の端のほうを探す。
練習始める前に、もしかしたら誰か拾ってくれてるかもだし…。バレー部のマネージャーさんにでも声をかけて確認してみようかなぁ。
そこまで思い立って、私がパッと顔を上げた瞬間。
パチッ。
不思議そうな表情で私を見つめている凪音くんと視線が絡んだ。
「あれ?芽結じゃん!そんなところでどうかした??」
「…っ!?」
嬉しそうに私に向かって、手を振って駆け寄ってくる凪音くんに目が点になる。
それは周りも同じだったらしい。
「ちょっ…。今、名前で呼んでた?」
「え、誰?あの子…」