どうやら私、推しに推されてるみたいです…。
な、凪音くんも残ってたんだ…。
確かに同じバレー部の春木くんと凪音くんは仲が良く、一緒に行動していることが多い。
だからこそ、私も春木くんの声だけで、本人だと判別できたのだ。
というか春木くん、ナイス!
推しの好みの女子を聞けるチャンス〜!!
さっきまで少しだけイラッとしていた春木くんに対しての気持ちは消え、今は彼が神様に見える。
え、誰だろう?
クールビューティーな立川さん?
それとも可愛い雰囲気の三浦さん??
そんな予想を立てつつ、ワクワクする私をよそに。
「……推し…?」
真面目な凪音くんの考え込むような声色が聞こえてくる。
「あんまり、深く考えんなって。こういうのは好みの女子あげればいいんだって」
そんな春木くんの声が聞こえてきた瞬間。
「…うーん、そういうことなら。じゃあ俺の推しは、委員長かな?」
…!?!?
サラッと、彼の口から飛び出た言葉に私は自分の耳を疑った。
それは春木くん含めた他の男子生徒も同様だったらしく…。
「委員長って、瀬川さんのこと…?」
「え、委員長…?」
と、若干戸惑ったような声が聞こえてくる。