love or die~死亡フラグ回避は恋愛ありえない幼なじみと×××せよ!~
 やっぱり、甲斐の前ではしおらしい感じにはなれそうにない。

 女性としてとか、男性してとか以前に、やっぱり甲斐は甲斐で、私は私だ、と私は思う。

 こういうことをする関係になるなんて、想定外だったし、今も慣れてはいない。
 でも、私の失敗に懲りもせずに付き合ってくれてきた甲斐には感謝しているのは、本当だ。

 甲斐の胸板をなぞりながら、何度もキスを落としてみる。その度に、そわそわっと甲斐の身体が震えるのが分かって、かわいい、と思った。

 本当なら甲斐と同じ男の子になりたかったけれど、女でも、甲斐と一緒にいられるなら、この関係も悪くはない、と思う。

「悪い、もう」
 と甲斐が眉根を寄せて言った。

「え、ダメだよ!」

「一回くらい。美玖の初めて、くれよ」

 と切なそうに言われて、拒否しにくくなる。でも、その気配で、「あ、ヤバい!」と思ったら再び上下交代だ。慌てている私を見て、

「大人っていいよな」と甲斐は言う。

「大人って汚れてる」と私は言った。

「好き、美玖」そう言って甲斐がキスしてきたので、こっちも角度を変えてキスに応えていく。

「うん、知ってる」

「同じ家に帰って」

「いいよ」

 甲斐のキスが好き。
 それは、甲斐が好きなのと、同じかもしれない。

 そこそこ大人になって、やっと分かった気もするのだ。
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