冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
彼女のランニングコースと家まで熟知し、距離を開けて、後を走っていると知り、ゾッとする。
その相手が、妹の砂羽だったとは…。
「妹を泣かせたら、承知しないからね」
「やっと手に入れたんだ。幸せにするに決まっている。一気に同棲まで持ち込んで、結婚する。俺から逃げられないよう、腹の中にしこむ」
「うわー、それだけはやめてあげてよ。砂羽の意思を聞いて同意を得てからだからね。わかった、霧矢」
「同意?わかった…取れば妊娠させていいんだな」
暴走ぎみの霧矢を説得するのは無理そうで、砂羽包囲網が練られつつある事態。
(妹よ。大変な男に惚れられたな。だが、必ず幸せにしてくれるだろう。会社の発展の為、霧矢の手綱は、砂羽の一挙一動にかかっている。頼んだぞ)
心の中で、手を合わせ頼む和希だった。
その日からニカ月経ったある日、妊活に励んだ霧矢によって、砂羽の妊娠が発覚し、入籍することを聞く。
それも、霧矢からである。
そして、砂羽から嬉しそうに報告もあり、出会わせてくれたことを感謝してくるが、あの日がなくても、いずれはこうなっていただろう。
(これでいいのか?いいんじゃないか⁈)
幸せそうな妹の為に、余計な言葉は言わないことにする。
「おめでとう」
[end]