愛する人と暮らす初めての日
「ねえ、リュカ。ごはんはいいの?」
少しうとうとしていた彼女が思い出したように言う。
「そうだった。リーベが可愛くてすっかり忘れてた。さ、食べよっか」
彼女に言われるまでご飯のことなんて頭からすっかり消えていた。
どうせなら温かいものを食べてほしいのに忘れるなんて。
彼女と一緒にダイニングテーブルに移動する。
リーベは目をキラキラとさせ、俺が作った料理を見ている。
そんな様子も可愛らしいが、早く食べないと冷めてしまうかもしれない。
まあ、あんなにご飯を放置してのんびりしてしまったから今更なようも気がするが。
「食べないの?」
「食べるよ。……えっと、いただきます」
「どうぞ」
彼女はフォークとスプーンを見て動かない。
もしかして持ち方や使い方が分からないのではないかと思い教える。
もう一度いただきますと言い、彼女はサラダを食べる。
口元を綻ばせながら、ゆっくりと咀嚼している。
「すごい美味しい」
「そっか、よかった。じゃあ、俺も食べようかな。いただきます」
表情でなんとなく分かっていたが、美味しいと言ってもらえてよかった。
朝ということですごく簡単に作ったので、そう言ってもらえると安心する。
料理は人並みには出来るはずだが、こんなことならもっと母さんから教えてもらっておけばよかった。
そんな後悔をしながら俺も朝食を食べ始める。
スープもパンも彼女は美味しそうに食べてくれる。
そうやって美味しそうにしている彼女も可愛くて、いつもと変わらないはずなのに、ご飯の味が美味しく感じる。