愛する人と暮らす初めての日

「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」


 食事中は彼女が食べるのに夢中になっていて、俺はそんなリーベを愛おしく思いながら食べていた。
 なのでお互い無言だったが、あっという間に食べ終わる。

 俺は彼女よりも早く食べ終わっていた。
 だが俺が立ち上がったらリーベが焦るかもしれないと思い、食べ終わるまで彼女を眺めていた。

 とりあえず俺の分だけ食器を下げてからリーベの分を下げようと思ったのだが、彼女がシンクまで持ってきてくれた。

 そんな彼女にお礼を言い、頭を撫でる。
 リーベが嬉しそうに笑う。
 可愛いと思いながら食器を洗う。


「私も何かできることある? リュカのお手伝いしたい」

「ありがとう。じゃあ、俺が洗った食器拭いてもらってもいい?」

「うん、わかった」


 彼女の申し出をありがたく受け取ることにして、食器拭きを頼む。
 俺に頼まれたのが嬉しかったのか、彼女がにこにこと笑いながら隣で待っている。


「……っ、可愛い」


 思わず声が漏れ出たが、彼女は気にしていない様子だ。
< 12 / 55 >

この作品をシェア

pagetop