愛する人と暮らす初めての日
 まさかリーベから来てくれるとは思ってなかったので驚くが、すぐに抱きしめ返す。


「リーベから抱きしめてくれるなんて珍しい」

「嫌だった?」


 俺が彼女に抱きしめられて嫌な訳がないのに、少し不安そうにリーベが俺の顔を見上げてくる。

 そんな顔すら可愛い。


「まさか、嬉しいよ」


 彼女は笑顔を浮かべ、俺の胸に顔を寄せる。

 このまま抱き合っていたいが、時間を確認するともうそろそろ支度をしないと仕事に間に合わなくなりそうだ。
 なので泣く泣く彼女から離れる。

「もうそろそろ支度しないと、時間に間に合わなくなるから風呂に入ってくる。少しだけ待ってて」


 彼女をソファに座らせ、風呂に向かう。
 全身をぱっと洗い、さっさと風呂から上がる。

 リーベはソファに座ったまま外を眺めていた。
 そんな姿も様になり、写真を撮りたいところだったが我慢する。

 彼女にとって外を自分の足で歩くのは初めてだろうから、ゆっくりと歩くために時間にゆとりを持っておきたかったからだ。


「お待たせ。俺は支度済んだけど、リーベはまだ何かすることある?」

「私も大丈夫」

「なら、出かけようか」
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