愛する人と暮らす初めての日
「怖がらせてしまってすまない。さっきリュカが紹介してたけど、改めて俺はノアム・ランベール。こいつの上官だ」
少尉が彼女に笑顔で自己紹介をするので、リーベの様子を見る。
俺の後ろから顔を覗かせている姿はやはり可愛くて、笑みが溢れる。
ちらりと彼女がこちらを見て、目が合ったので安心させるように微笑む。
「君に危害を加えたり、嫌だと思うことは絶対にしないから、そんなに怖がらないでくれないか?」
少尉の言葉を聞いて、慌てたように彼女が少しだけ前に出る。
けれど俺の傍から離れたくないのか、俺の服の裾を少し掴んでいる。
「もう怖くないです。ノアムさんが怖い人じゃないのはわかりましたし」
どうやら彼女にも少尉が怖い人ではないと、いつの間にか伝わったらしい。
どうして怖くなくなったのかはよく分からないが、伝わったのならよかった。
少尉に促され、ソファに座る。
「リュカのソファよりふかふか」
彼女がそう呟くのが聞こえる。
それがなんだか悔しい。
「もう少しお金が貯まったら、もっといいソファ買うから楽しみにしてて」
「私はあのソファも気に入ってるよ?」
「本当に? 俺に気遣ってない?」
「……?」
彼女が不思議そうに首を傾げている。
その様子から俺がへこまないために言っている訳ではないことが分かる。