愛する人と暮らす初めての日

「私も一緒に行っていいの?」

「もちろん。……着いたら色々聞かれるかもしれないけど大丈夫?」


 彼女にとって、オリバーのもとにいた時のことは思い出したくもない程嫌な記憶だろう。

 そんなことを本当は綺麗さっぱり忘れてほしいが、被害者である彼女には事情聴取がされるはず。


「聞かれるって何を?」


 彼女が不思議そうに首を傾げる。
 あの男のことだなんて思ってもいないリーベに伝えるのは憚られて言い淀んでしまう。


「……あの部屋での暮らしとかなんだけど」


 俺の言葉を聞くと、彼女が震え出す。
 思い出させてしまったことを申し訳なく思う。

 とにかくリーベを落ち着かせなければと思い、彼女をベッドに座らせる。


「リーベが話したくないっていうなら、無理に話さなくていいんだ」


 少しでも安心させたくて抱きしめ、彼女の背中を優しく撫でる。

 俺の上官にいきなり尋ねられて怖がらせたくなくて言ったが、今でこの状態ならきっと話すなんて無理だろう。

 早くあんなことを忘れて平穏に過ごせるようになってほしいと思いながら、リーベの背中を撫で続ける。
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