愛する人と暮らす初めての日
 あの男が外で何をしているのか知らないが、毎日帰ってくる度に部屋に来ると、決まって暴力や暴言を吐いてきたようだ。

 オリバーは彼女が逆らったり泣くと更に暴力が酷くなる。
 なので、彼女は逆らわないよう、泣かないようそれに耐えて過ごす日々を送っていた。

 あの男の気に障りでもしたら、殺されてしまうのではないかと毎日怯えていた。


 妖精でごはんを必要としないから、一度もごはんなんて与えられたことはないし、お風呂にも入れられたことがない。

 たまに気まぐれで与えてくる本だけが彼女の楽しみだった。
 本がぼろぼろになる程には繰り返し読んだ。
 本から色々な知識を得て、外の世界で所謂普通な暮らしというのに憧れを抱いた。

 そんな憧れを抱いても、あの男からの暴力が止むことはなかったらしいが。
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