愛する人と暮らす初めての日

「ねえ、映像ってどんなものなの?」

「写真はわかるよね?」

「うん、絵みたいなものでしょ?」

「そう。簡単に言えば、写真の動く版が映像かな。実際に見た方がわかるだろうし、帰ったら一緒に見ようか」

「うん、わかった」


 上手く説明出来なかったので、彼女はまだ不思議そうにしている。

 そこでイアンが戻ってくる。


「お待たせ。はい、約束の」


 イアンが映像が入っている魔石を渡してくる。

 映像自体は魔法で割と簡単に撮れるのだが、そのままだと見れる手段がないので、魔石に撮った映像を移す必要がある。
 見る際には魔力を流し込めば映像が空間に映し出される。

 一見宝石に見えるが、名前の通り魔力が込められている石だ。
 今俺の手元にある程度のものなら、そんなに貴重なものではないので、簡単に手に入る。
 しかし中には、俺がいくら働いても買えないであろう額の魔石もある。


「ありがとう、イアン」

「その映像のリーベ可愛いから、覚悟して見ろよ」

「リーベはいつだって可愛い」


 冗談めいて言うイアンにそう返しておく。
 そして魔石を不思議そうに眺めている彼女に声をかける。
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