愛する人と暮らす初めての日
 家に着き、少しゆっくりしてから映像を見る。

 彼女がイアンから貰ってきたものは見たくないと言うので、彼女のものを見れないのを残念に思いながら、昔実家で飼っていた犬の映像を見せることにする。

 魔石に魔力を注ぎ、空間に映像が映し出される。


 そこには一匹の白い犬が写っている。
 俺が飼っていたルナだ。

 ルナは楽しそうに尻尾を振り、こちらをキラキラとした目で見ている。
 何度も見ているが、やはり可愛い。

 隣に座る彼女を見ると、映像を見て驚いているようだ。
 前を見ても、横を見ても可愛い存在がいるなんて、なんて幸せなのだろう。


「ルナ、これ取ってこい」


 映像の中から俺の声が聞こえてきたことに驚いたのか、彼女がこちらを見る。
 それとも俺が何か言ったと思ったのだろうか。

 どちらにしてもリーベが可愛くてくすくすと笑う。


「今のは映像の中から聞こえてるんだ。だから、俺は何も言ってないよ」


 彼女は感心した様子で映像に視線を戻す。
 俺も映像を見るとルナが遠くに走り出していた。

 俺が投げたボールを取りに行っているのだ。
 そしてボールを加えると、こちらに戻ってくる。
 ルナの口に加えられているボールを映像の中の俺が受け取る。


「いい子だなぁ」


 そう言ってルナの頭をわしゃわしゃと撫でる。
 ルナは嬉しそうに、尻尾がとれてしまうのではないかという程振っている。

 そこで映像が終わる。
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