愛する人と暮らす初めての日
「ごめん、まさかあんなすぐに上がってくると思わなくて。見られて嫌だったろ。本当にごめん」
「ううん、リュカがいないか確認してからあがればよかった。私こそごめんね」
「と、とりあえず髪乾かそうか」
やはり彼女の髪は濡れたままだったので、そう言ってソファに移動する。
朝と同様に丁寧に髪を乾かしていくが、先程のことが頭によぎり、朝ほど集中出来ない。
そして乾かし終わり、再度彼女に謝る。
「たしかに見られたのは恥ずかしかったよ。けど、別に嫌だったわけじゃない。だから、謝るのもう禁止」
許してくれるらしい。
彼女はなんて優しいんだろうか。
「リーベがそう言うならわかった。でも、本当にごめん」
「だから謝るの禁止」
つい出てしまった謝罪に彼女がむっとする。
どう反応したらいいか分からず、とりあえず笑っておく。
彼女に風呂に入るよう促され、大人しくそれに従い風呂に入る。
リーベに“謝るのは禁止”と言われたので、とにかく先程のことを忘れようと他のことを考えようとするが、やはり頭によぎってくる。
このままでは、この後気まずくなるだけだと無理矢理頭から追い出す。
そして気持ちを切り替えようと冷水を頭から被る。
しかしすぐにそれを後悔する。
最近暖かくなってきたとは言え、少し冷える浴室でそんなことをしたら当たり前のように寒く、急いで体を洗い湯船に浸かる。
何馬鹿なことをしてるのだろう、と自分に呆れる。