愛する人と暮らす初めての日

「リュカは私と一緒に寝たくないの?」

「そんな訳ない!」

「じゃあなんで悩むの?」

「それはその……」


 本音を言ったら引かれるのではないかと言い淀む。

 彼女は更に悲しそうにする。
 そんな顔を見たら、邪な考えなんて頭から出ていく。


「リーベそんな顔しないで」


 そんなに悲しそうにしないでほしくて彼女を抱きしめる。
 彼女が俺の胸に顔を寄せる。


「リーベは俺と一緒に寝たい?」


 彼女の顔を上げさせて尋ねるとリーベは頷く。
 そんなリーベを見て、俺のせいで悲しい思いをさせてしまったことに申し訳なくなる。


「そっか、じゃあ一緒に寝よう。ごめん、俺がうだうだ悩んだせいでリーベに悲しい思いさせちゃって」

「リュカは私と寝るの嫌じゃない?」

「嫌な訳ない」

「なら、なんであんなに悩んだの?」


 お願いだから、そんなこと聞かないでくれ。
 性に疎い彼女のことだから本当のことを言っても分からないかもしれない。
 けど、それがどういったことなのか尋ねられたら、どう答えたらいいのだろう。

 そう思って言い淀んでいると、彼女がまた悲しそうにする。
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