愛する人と暮らす初めての日

「私の分もごはん作ってくれたの?」

「うん、髪乾かしたら一緒に食べよう」


 ダイニングテーブルの方を見たようで、尋ねてくる彼女に優しく返す。

 彼女は驚いたように料理を見ていた。

 そこで妖精は空気中に魔力がある限り生きていけるので、食事を必要としないことを思い出す。


「あ、妖精って食べなくてもいいんだったか」

「確かに食べなくても生きていけるけど、リュカがこうやって用意してくれたの嬉しいよ。だから、一緒に食べよ?」


 彼女が振り向き、笑顔で伝えてくる。
 リーベがそう言ってくれたのが嬉しくて笑みが浮かぶ。


「ならよかった。じゃあ、髪乾かすよ」


 魔法を使って彼女の髪を乾かす。
 人の髪なんて乾かしたことがないので、また出来る限り優しい手つきで乾かしていく。

 乾かしているとリーベは眠くなってきたのか船を漕ぎ始めた。
 眠くなる程には上手く出来ているようで安心する。
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