熱い瞳
 「はぁ、、んっ、、、」

 佑太の温かな舌が私の口の中で音を立てながら動いている。それに加え、声が漏れてしまいとても恥ずかしい。恋愛初心者の私は息を吸うタイミングがわからず、佑太のペースに合わせる事で精いっぱいだ。佑太は、五感からの情報は使う五感が少なくなればなるほど、受け取る情報に対して過敏になると言い、彼の右手を私の目元に置き、視界を奪った。目が見えない分、唇の触れ合うタイミングがわからず、息継ぎのタイミングも分からない為、自然と呼吸が荒くなり、言葉を発しようと思うも唇が重なり呂律が回らず、結果的に変な声がでてしまうのである。ベットに仰向けに寝転んでいる私の上に佑太が覆いかぶさっいる状態なのである。体を動かして逃れようとも、佑太の覆いかぶさっている体重と、私の腰に当てられている佑太の左手による力により、動けない。
 
 佑太とはパラレルワールドから来た青年である。私が楽しく毎日を送っていただ出会っていたであろう、もしもの、すなわち、架空の人物なのである。
 突如、私の目の前に現れては、「さくら、どうして泣いてるの?いつものさくらじゃないみたい。僕でよければ話聞くよ?」と優しく声をかけてくれ、手を握ってくれた。私はあまりの出来事に夢を見ているのではないかと現実に起きている事に対して疑ったが、目に映る部屋は普段のままであり、口の内側を噛んでも痛かった為、夢を見ているのではないとわかった。

 私は高校生の頃に親友を失った。私はその子に恋をしていたのかもしれない。

 
 
 
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