俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「ほら水野、もう少し笑え」
「そんなこと言ったって・・・」
楽しくもないのに笑えるはずがない。

「碧、飯島先生と並んで写真を撮るわよ」
「えぇー」
「ほら早く」

男子も女子も、上司も同期も、みんなお酒が入り遠慮がなくなっていった。
こんな時、私はいつも周囲に負けてしまう。
言いたいことが言えず、流されるまま動いてしまう自分が腹立たしくもあるけれど、どうすることもできない。

「じゃあ、改めてカンパーイ」
気が付けば私の手も新しいグラスがあり、周りの空気によってグラスを空けるしかなくなっていく。

ウー、気持ち悪い。
頭がフラフラするし、立っているのも辛い。
これ以上飲めば倒れてしまいそうで、私はそっとその場を離れようとした。
しかし、

「碧、せっかく同期が集まったんだからこの後もう一軒行くわよ」
「いやぁ、私は・・・」
「何言っているの、少しだけでも付き合いなさい」

学生時代指導医の先生とそりが合わず何度も落第しそうなところを助けてもらった友人たちに言われ、私はまた断ることができなくなっていく。
結局これがいつものパターン。
あーあ困ったな、本当に倒れそうなのに・・・
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